オンプレミスという言葉を見たり聞いたりしたことがありますか?IT業界にいる方やシステム関連の仕事をしている方にとってはおなじみの言葉かもしれません。しかし、具体的にどのようなものなのか、またクラウドとの違いについてはっきり理解していない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「オンプレミス」とは具体的に何なのか、またクラウドとの違いを詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
オンプレミスとは?

オンプレミスとは、企業や組織が自社のオフィスや施設内にサーバーやネットワーク機器、ストレージなどのITインフラを直接設置して運用する形態を指します。「オンプレミス(On-premises)」という用語は、「自社内で(施設内で)」という意味合いを持っており、クラウドのように外部のサービスを使用せず、自前でハードウェアやソフトウェアを管理する方法です。
かつては、コンピュータシステムが非常に高価で複雑であったため、大企業や政府機関が主なユーザーでした。しかし技術革新やハードウェアコストの低下に伴い、中小企業でもオンプレミスのITシステムを導入することが一般的になりました。
オンプレミスの構成
オンプレミスでは以下のような機器、システムを構築します。
- ハードウェア:サーバー機器、データ保存用のストレージ、ネットワーク機器(ルーター、スイッチなど)
- ソフトウェア:オペレーティングシステム(OS)、データベースソフトウェア、企業が使用する各種アプリケーション
- ネットワーク:社内での通信を支えるネットワーク、外部のインターネット接続環境
- セキュリティシステム:ファイアウォール、アンチウイルスソフト、物理的なアクセス管理(カードキーや監視カメラなど)
オンプレミスのメリット
オンプレミスを採用するメリットは主に以下の点が挙げられます。
① カスタマイズ性の高さ
オンプレミスでは、ハードウェアやソフトウェアをすべて自社で管理しているため、企業の具体的なニーズに応じて柔軟にカスタマイズできます。特定の業務に最適化された専用システムを自由に構築・改良できる点が強みです。
② セキュリティ管理の優位性
オンプレミスではデータが自社の物理的な環境内で運用されるため、外部からの攻撃を遮断しやすいという利点があります。また、独自のセキュリティポリシーを細かく設定して厳密に管理することも可能です。
③ 物理的な制御が可能
自社内でサーバーを管理しているため、誰がどのようにデータにアクセスできるかを完全にコントロールできます。データへの物理的なアクセスも制御可能であり、特に機密情報を扱う場合にメリットが大きくなります。
④ 他システムとの連携のしやすさ
既存の社内システムに新たなサービスや機能を追加する場合、自社内で完結しているため柔軟かつ迅速に連携できることが多くなります。

メリットが多くて、オンプレ最高!
となりそうですが、、もちろんデメリットもあります。
オンプレミスの主なデメリット
特に以下の2つは大きな課題となります。
① 初期費用の高さ
オンプレミス環境を構築するためには、多額の初期投資が必要となります。ハードウェア、ソフトウェア、設置スペース、導入時の設定など、初期段階で大きなコストがかかります。
② 運用・管理の負担
オンプレミスでは、自社がすべての運用や管理を行わなければなりません。システムのメンテナンスや障害対応、セキュリティ対策などを自社スタッフで対応するため、人的コストや手間もかかります。
そのため、ビジネスの特定のニーズに応じて、オンプレミスかクラウドかを検討することが重要です。
クラウドとの違い


クラウドとは?
クラウド(クラウドコンピューティング)とは、インターネット経由で外部のサービスプロバイダが所有するサーバーやストレージなどのIT資源を利用する仕組みです。
Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureなどが有名です。
以下、4点のオンプレミスとクラウドの違いについて記載しました。
インフラの配置場所の違い
オンプレミス | 自社のオフィスなどに設置 |
クラウド | サービスプロバイダのデータセンターに設置 |
コスト
オンプレミス | 初期投資が高く、ハードウェアとソフトウェアの購入、維持にコストがかかる |
クラウド | 通常はサブスクリプションベースで、使用したリソースに応じて費用が発生する |
管理とメンテナンス
オンプレミス | 自社で全ての管理とメンテナンスを行う必要がある |
クラウド | サービスプロバイダが基本的な管理とメンテナンスを担当 |
セキュリティとプライバシー
オンプレミス | 物理的なアクセスとデータ管理の完全な制御が可能。 |
クラウド | セキュリティはプロバイダのプロトコルとポリシーに依存(プロバイダによるセキュリティ対策はされています。) |
クラウドの形態
クラウドは以下3つの種類に分けられます。
- パブリッククラウド:サービスが一般に公開されているおり、リソースをみんなで共有するクラウドです。
- プライベートクラウド:特定の組織内で利用されるリソースを占有するクラウドです。
- ハイブリッドクラウド:パブリックとプライベートの組み合わせで、柔軟性とセキュリティを両立させる形態です。
まとめ
今回は、オンプレミスについてクラウドとの違いについて交えながら解説しました。
オンプレミスとクラウドにはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらが適しているかは企業や組織のニーズに依存します。
セキュリティや管理が重視される場合はオンプレミスが、コスト効率や拡張性を求める場合はクラウドが適しているかもしれません。それぞれのビジネスの目的に合わせて選択する必要があります。
また、オンプレミスとクラウドについて、復習したいと思った際は、当記事をご参考いただけると幸いです。