Webサイトを表示するとき、裏側ではブラウザとサーバーがたくさんの通信を行っています。その通信ルールを定めているのがHTTPです。
このHTTPにはいくつかのバージョンがあり、長年使われてきたのがHTTP/1.1、そして現在の主流になりつつあるのがHTTP/2です。
名前は聞いたことがあるけれど、「実際に何がどう違うのかはよく分からない」「設定すると何が嬉しいのか説明できない」という人も多いかもしれません。
HTTPとは何をしている仕組みか

ブラウザとサーバーのやり取りのルール
HTTPは、ブラウザがサーバーに「このページをください」とお願いし、サーバーが「はい、どうぞ」と返すための約束事です。
Webページを開くたびに、このやり取りが基本的に何十回、何百回と繰り返されています。
HTMLファイルだけでなく、画像、CSS、JavaScriptなどもすべてHTTP通信で取得されています。
つまりHTTPの仕組み次第で、ページの表示速度や安定性が大きく変わるというわけです。
HTTP/1.1は長年のスタンダード
HTTP/1.1は1997年に策定され、長い間Webの中心を支えてきました。
今でも多くのシステムで問題なく使われており、「古くて使えない」というものではありません。
ただし、当時のWebは今ほど複雑ではありませんでした。
画像が数枚、ちょっとしたテキストが表示できれば十分な時代に作られた仕組みなので、現代のWebには少し不向きな点が出てきています。
HTTP/1.1の特徴と限界
基本は一問一答の通信
HTTP/1.1では、基本的に「リクエストを送る → レスポンスを待つ」という流れを繰り返します。
これは、レジで一人ずつ注文して商品を受け取るイメージに近いです。
複数のファイルが必要な場合でも、順番にリクエストを処理するため、待ち時間が発生しやすくなります。
Head-of-Line Blocking問題
HTTP/1.1の分かりづらい欠点として、Head-of-Line Blocking(ホルブロッキング)と呼ばれる問題があります。
簡単に言うと、先頭の通信が詰まると、後ろの通信も全部待たされてしまう現象です。
例えば、重たい画像の取得に時間がかかると、その後に控えている軽いCSSやJavaScriptまで遅れてしまいます。
回避策としての工夫が必要だった
この制約を避けるため、HTTP/1.1時代にはさまざまな工夫が生まれました。
- 画像を1枚にまとめるスプライト
- CSSやJavaScriptを結合する
- ドメインを分けて同時接続数を増やす
どれも「通信回数を減らす」ための涙ぐましい対策です。
ただ、設定が複雑になり、保守性が下がるという別の問題も抱えていました。
HTTP/2で何が変わったのか

最大の特徴は多重化
HTTP/2の一番のポイントは、多重化です。
1つの接続の中で、複数のリクエストとレスポンスを同時にやり取りできます。
先ほどのレジの例で言えば、1人ずつ並ぶのではなく、複数の窓口で同時に注文できる状態です。
これにより、待ち時間が大幅に減ります。
バイナリ形式による高速化
HTTP/1.1はテキストベースですが、HTTP/2はバイナリ形式で通信します。
人間が直接読むことはできませんが、その分コンピュータにとっては処理しやすく、通信の効率が上がります。
この変更により、解析やエラー処理もシンプルになりました。
ヘッダー圧縮で無駄を削減
HTTP通信では、毎回たくさんのヘッダー情報が送られます。
HTTP/2では、このヘッダーを圧縮して送信します。
同じような情報を何度も送らなくて済むため、通信量が減り、特にモバイル環境で効果を発揮します。
サーバープッシュという新しい仕組み
HTTP/2では、サーバープッシュという機能も追加されました。
これは、ブラウザからのリクエストを待たずに、必要になりそうなファイルを先に送る仕組みです。
例えばHTMLを送るときに、「このCSSとJavaScriptもどうせ必要だろう」と先回りして配信できます。
使いどころは選びますが、適切に使えば体感速度の向上につながります。
HTTP/1.1とHTTP/2の違いを整理
通信の流れの違い
HTTP/1.1
- 基本は順番待ち
- 通信が詰まると全体が遅れる
HTTP/2
- 同時に複数通信が可能
- 1つの遅延が全体に影響しにくい
開発者の負担の違い
HTTP/1.1では、通信を減らすための設計が必要でした。
HTTP/2では、ファイルを無理にまとめなくても効率よく通信できます。
その結果、コードの見通しが良くなり、保守もしやすくなります。
実務で知っておきたいポイント
HTTP/2はHTTPSが前提
多くのブラウザでは、HTTP/2はHTTPS通信でのみ利用できます。
そのため、SSL/TLSの設定が必須です。
「HTTP/2にしたのに速くならない」という場合、実はHTTP/1.1のままだった、というケースもよくあります。
無理な最適化をしなくてよい
HTTP/2環境では、昔ながらの最適化が逆効果になることもあります。
CSSやJavaScriptを過剰にまとめる必要はありません。
シンプルな構成を保ちつつ、HTTP/2の仕組みに任せる方が結果的に安定します。
計測と確認は必須
HTTP/2は万能ではありません。
ネットワーク状況やサーバー設定によっては、期待した効果が出ないこともあります。
ブラウザの開発者ツールなどを使い、実際の通信状況を確認する習慣が大切です。
よくある疑問を一問一答で整理
- HTTP/2にすれば必ず速くなる?
-
多くの場合は速くなりますが、必ずではありません。
ページ構成やサーバー性能によって差が出ます。
- HTTP/1.1はもう使えない?
-
使えます。
既存システムでは今も現役で、無理に切り替える必要はありません。
- 設定は難しい?
-
Webサーバーやクラウドサービスによっては、設定を有効にするだけで使える場合もあります。
思っているよりハードルは高くありません。
まとめ
HTTP/1.1とHTTP/2の違いは、「同時にどれだけ効率よく通信できるか」に集約されます。
HTTP/2は現代のWebに合わせて進化し、表示速度や開発のしやすさを大きく改善しました。
仕組みを完璧に理解する必要はありませんが、「なぜ速くなるのか」「どんな制約がなくなったのか」を知っておくと、設計やトラブル対応が楽になります。
HTTP/2は魔法ではなく、正しく理解して使うことで、初めて力を発揮する技術です。
Webの裏側を少し意識しながら開発や運用を行うことで、より快適なサービス提供につながります。

